第67章

「まさか不二さん、経済ニュースまでチェックしてるなんて」

篠は「ふん」と鼻を鳴らし、指先で自分の髪をくるくる弄びながら言った。

「それはね、氷室弁護士のこと、もうちょっと知っておこうと思って」

馬鹿じゃない。手を出すなら、その前に相手の総合力くらい見ておく。

万が一、悠がすっからかんの貧乏人だったら? こっちが悲惨だ。

篠はよく分かっている。何をして生きてもいい。でも、苦しい暮らしだけは絶対に無理だ。

悠は、彼女の口から出まかせを信じていない。深く暗い眼差しが篠の全身をなぞり、口元だけをわずかに吊り上げた――それ以上、何も言わない。

目的地に着いて、篠はようやく悠がどこへ連れて...

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