第70章

不二さんは、あの署の常連だ。

顔はいいのにトラブル体質で、しかも話が通じない。

三日か五日に一回は通報してくる。

たぶん、見た目がいい上に芸能界にいるせいで、揉め事がやたら多いのだろう。

篠が面倒なのは今に始まったことじゃないが、今日はそこに悠まで巻き込まれていた。

「手塚警部に連絡して戻らせろ」

署内でこの光景を見て、真っ先に思い浮かぶのは周助くらいだった。

警官は頭痛を堪えるように眉間を押さえ、そっと近づいて和也に上着を掛けようとする。

それを見た篠が、氷みたいな声で言った。

「触ってみろ――――」

「その格好で外に出すのは、さすがに……みっともない」

「みっともな...

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