第8章

篠は悠の法律事務所を出ると、そのまま不二家へ戻った。

車が屋敷の前まで来る前から、門の前で誰かがひざまずき、わあわあと泣き喚いているのが見えた。

「不二さん……」

秘書の七海が車を止め、ちらりと篠を見る。

このまま中へ入っていいのかどうか、判断に迷っている顔だった。

「ちょっと待って。電話する」

ほどなくして、後部座席から篠の声が聞こえてきた。管理会社の責任者に、まだ自分から管理費を払ってもらう気があるのか、と問いただしている。

それから十分後――管理会社の責任者は人をぞろぞろ引き連れてやって来た。

田矢七海は初めて思った。豪邸はやっぱり豪邸だ、と。世の中の管理会社がみんなこ...

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