第88章

岡市鳴美は「横塚映美の検診に付き添って来た」と言いかけて、ふと篠が横塚映美の名前を聞きたくないかもしれないと思い、慌てて言葉を飲み込んだ。

その篠も、少し離れた場所で腹を突き出して立っている横塚映美に気づいたらしい。顔色がさっと変わり、

「用がないなら、先に帰るけど?」

篠が立ち去ろうとした瞬間、岡市鳴美は内心ぎくりとした。横塚映美が子どもを産んで、親子鑑定の結果が出るまで待つつもりだったのに。もし和也の子じゃなかったら――和也と篠に、まだ可能性があるかもしれない。なのに、ここで帰られたら……。

「篠、氷室さんと……?」

「私の男」

篠は悠が余計なことを言い出す前に、先回りして言...

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