第91章

篠のセンスと審美眼、それに財力は、帝都でも指折りだ。

あのネックレスが篠からの贈り物じゃなかったら、岡市愛彩は身につけなかったかもしれない。

身につけた以上、あれで自分の格を上げるつもりだったのだろう。

――まさか、本当にそれが通ってしまうとは。

ネックレスをつけて顔を出した途端、何か月もこちらを渋らせていた取引先が、急に折れてきたのだ。

だからこそ、岡市鳴美が「返す」と言い出した瞬間、岡市愛彩は一瞬だけ胸がひゅっとした。

「何の前触れもなく、篠が急に返せって言うなんて。あんた、何かやらかしたんじゃないの?」

岡市鳴美は笑った。いや、呆れて笑うしかなかった。

「義姉さん、その...

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