第94章

直樹が鼻で笑って言い返す。

「はぐらかすなよ。俺が聞いてんのは、爺さんが死にそうなのかってことだ」

篠はどうでもよさそうに肩をすくめ、使用人に目配せして茶を淹れさせた。

「安心して。老爺子が死んだら、ちゃんとあんたに知らせるから」

「篠……警察呼ぶぞ。信じねえからな」

脅し、ってわけ?

篠は笑い、差し出された茶を受け取る。

「呼べば? 誰に向けた見栄だよ」

不二百合子は、直樹が篠に完全に手綱を握られているのを見て顔色を曇らせ、間に入った。

「篠。もし本当にお父さまが危ないなら、直樹とあなたは敵になるんじゃなくて、同じ側に立つべきでしょう」

「外にいる十数人の隠し子を呼び寄...

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