第95章

個室の中で、篠はソファに泰然と腰を据えた悠を見つめていた。

悠は煙草を指に挟み、ふうっと煙を吐きながら、半眼で彼女を睨む。

言葉は交わされない。けれど空気だけが、刃を突きつけ合うみたいに張り詰めていた。

「その話、氷室弁護士が流したんじゃないの?」

「俺にそんな力があると?」悠は灰皿に軽く煙灰を落とす。

篠は笑った。力がない? そんなの、誰が信じる。

「氷室弁護士って、いつからそんな謙虚になったの?」

「不二さんが、そこまで俺を買ってるとは知らなかった」

言い返そうとして、篠は悟と東風彰二が同席していることを思い出す。二人をちらりと見た。

東風彰二は察しよく言う。

「どう...

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