第96章

「悠に何かされたの?」

行広睦子が、ボールを弾ませている篠を見ながら訊いた。

篠はボールを放り、間髪入れずにラケットを振り抜く。

「アイツの話はやめて。吐き気する」

「悠みたいな腹黒、絶対わざと煽ってるだけよ。あんたがムキになるほど向こうの思うツボ。気にしないで」

「気にするに決まってるでしょ。ムカつく」

篠の怒気は凄まじく、コートで相手をしているコーチ二人にも、嫌というほど伝わっていた。

半面も持たない。

膝に手をつき、ぜえぜえと息をしながら篠を見上げる。

「ちょっと、あんたたち本当に使えない。無理なら代えなさいよ。年会費、何十万も払ってるの。これがその対価?」

「悟に...

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