第99章

「捨てられた出戻りのくせに、どこにそんな優越感があるのよ。あの女の父親が死んだら、篠が帝都でまだやっていけるか見ものだわ。帝都の男どもが、順番にあいつを抱きに行くんじゃない?」

「……売女」

木須真莉は怒りに任せて吐き捨てた。

その罵声を、扉口に立つ木須彼方が無表情のまま聞いている。冷えた視線だけを残し、彼方は踵を返した。

「お嬢様」

階段を下りてきた彼方に、使用人が声をかける。

「うん」

彼方の声には、波ひとつ立たない。

篠のところで恥をかかされ、家に戻れば戻ったで木須彼方の淡々とした態度。木須真莉は一気に人生が色褪せた気分になり、着替えるなりバーへ向かった。

店内は熱気...

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