第6章

石原真奈美の視点

明日着る白いドレスを畳んでいると、ドアがノックされた。強く、緊急性を感じさせるノックが。

夜の十時に訪ねてくるなんて、一体誰なの?

ドアスコープを覗き込み、私の胃がずしりと重くなった。

拓也。

ふざけてるの? 悠斗がもう片付けてくれたんじゃなかったの? なんで拓也がまたここにいるわけ?

彼はひどい有様だった。目は充血し、髪は乱れ、何日も眠っていないかのようだった。

終わらせないと。今度こそ、完全に。

ドアを開けたが、チェーンはかけたままにした。「拓也、あなた何を――」

「お願いだ」彼の声はひび割れていた。「ただ聞いてくれ。五分でいい」

「...

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