第2章

同時に三人と付き合うのは、たしかに少々骨が折れる。なにせ私は時間管理の達人ではないのだから。

だが、時間配分の問題で悩んだことは一度もない。

なにしろ、このゲームにおいては、神崎菊司、池田悠、そして西野智也の三人が、自発的に互いを理解し、協力し合ってくれるのだから。

彼ら三人はそれぞれ相手の存在を認識しており、だからこそ、より一層、時間を適切に調整してくれる。

そして私は、あえて選びかねているという虚像を作り上げた。彼ら三人があまりに素晴らしすぎて、こんなにも素敵な人たちが、これほど平凡な私を追いかけてくれるなんて信じられない。だから決断できずにいるのだと、そう思わせるために。

私のそんな態度を、彼らは内心では見下しているだろう。それでもなお、私に夢中なふりをして求愛し続けなければならない。

日々が過ぎるにつれ、私のスマートフォンのスケジュールはますます埋まっていった。

毎日の午前中は、神崎と図書館で読書デートだ。

デートの前には、わざわざ白いワンピースに着替える。薄化粧で清楚に、髪型も最もオーソドックスなストレートヘアにして、神崎菊司に釣り合う『大和撫子』のイメージを演出する。

図書館の片隅で、神崎菊司が経済学の専門書を読んでいる。私は抜き足差し足で彼の隣に歩み寄り、腰を下ろした。

「今日は遅れてしまいました」

私はわずかに俯き、か細い声で言った。

彼は頷き、読書を続けた。

しかし、座って十分も経たないうちに、私はそっと手を伸ばし、図書館の机の下で神崎菊司の指をなぞるように戯れ始めた。

最初は彼も少し抵抗した。普段は冷静なその双眸がすっと険しくなり、修長の指が私の悪戯な手首を力強く掴んで、それを退かせた。

薄い唇は真一文字に結ばれ、私の行動に相当な不満を抱いているようだった。

そんな時、私は決まって少し俯き、誤解された小動物のような瞳で彼を見つめるのだ。

「神崎先輩、もしかして、先輩は私のこの人となりではなく、普段の大人しい私がお好きなのですか?」

そう問われて彼は一瞬固まり、ただぶっきらぼうに「違う」と返すしかなかった。

その言葉を聞くや否や、私はぱっと花が咲くような笑顔を見せ、そっと彼の腕に絡みついた。

「やっぱり先輩は最高です。学校にいる口先だけの男の子たちとは全然違いますね!」

「神崎先輩、こんなに素敵な方が、ずっと私のことを好きでいてくれたらいいのに!」

「ねえ、先輩。私がどうして、なかなか先輩とお付き合いするって言わないか分かりますか?」

「先輩が眩しすぎるからです。あなたのような財閥の跡継ぎに、いつか突然捨てられたら、私はもう立ち直れないんじゃないかって、そう思うと怖いんです!」

私は心の中で冷静に一つ一つの言葉の効果を計算しながら、表面上はひたすら誠実さを装った。

要するに、様々な理由をつけて彼を褒めそやし、同時に匂わせるのだ。あなたが素敵すぎるから、私は傷つくのが怖くて、付き合えないのだと。

洗脳の回数を重ねるうち、彼もそれを真に受けるようになった。

私が机の下でこっそりと彼の手の甲に触れても、彼はもう最初の頃のように拒絶せず、私のささやかな悪戯を黙認するようになった。

ついには、神崎菊司自身も気づかないうちに、彼は無表情で論文をめくりながら、机の下では無意識に私の手を取り、手のひらでそっと撫でさするまでになっていた。

その様子に、机に突っ伏して腕に顔を埋めた私の口元が、微かに弧を描いた。

一匹、釣れた。


池田悠との付き合い方は、また別の様相を呈していた。

毎晩、彼は人目を引く大型バイクに私を乗せ、新宿区の街を駆け抜ける。

夜風がごうと吹き抜け、私は彼の腰にきつく抱きつき、エンジンの轟音を感じていた。

このスピードは心地よいものではない。だが、これこそが彼の望む効果なのだと私は知っていた——私を彼に依存させ、恐れさせ、それでいて離れられなくさせること。

バイクが停まると、私は弱々しいふりをして彼の肩に寄りかかった。

「池田、私たち、どこか別の場所に行かない?例えば、映画館とか」

彼は振り返り、口の端に挑発的な笑みを浮かべた。

「俺に頼んでみろよ」

彼の大仰な男らしさを満たしたいのだろうと察し、私はその期待に応えるように、うつむいて小声で言った。

「お願い、池田」

彼は満足げに笑ったが、映画館ではなく、渋谷区のとあるバーへ私を連れて行った。

ここは明らかに彼の縄張りで、店に入るなり多くの人間が彼に挨拶をしてくる。

池田悠は煙草に火をつけ、ウィスキーグラスを揺らす。薄暗い照明の下、その姿は格別に魅力的だった。

彼の視線はずっと私を追いかけており、まるで自分の領地と影響力を誇示しているかのようだった。

私は彼の指から、優しく、しかし断固として煙草を抜き取った。

「体に悪いわ」

彼は眉をひそめ、明らかに不満そうだ。

「葵、お前が好きだからって、何でも思い通りになると思うなよ」

私は彼の言葉に傷ついたふりをして、目元をわずかに赤らめた。

「あなたを縛りたいなんて思ったことはない。でも、あなたがこんな風に堕落していくのを、黙って見てることもできないの!」

彼は呆気に取られた。まさか私がそう言い返すとは思ってもみなかったのだろう。

「本当に私のことを大切に思ってくれるなら、少しは将来のことを考えてほしい」

私は静かに言った。

「これも、私があなたの彼女になれない理由なの」

その場では特に反応はなかったが、この言葉は明らかに彼の心に響いたようだった。

それからの日々、池田悠はバーへ出入りする回数を著しく減らし、ついには禁煙まで始めた。

さらに意外だったのは、彼の成績も上がったことだ。

彼の変化を見ながら、私は心の中でほくそ笑んだ。不良のフィルターを外してみれば、この池田も、なかなか素直じゃないか。


西野智也をあしらうのは、先の二人と比べればずっと簡単だった。

書店に行った後、西野智也が補習をしてほしいと申し出てきた。私は二度断った後、流れに乗じてそれを受け入れた。

西野は新宿区に自分のマンションを持っており、補習は彼の家で行われた。

この十八歳の天才少年は、年は若いが、その言動には明確な目的性が伴っていた。

「先輩、この問題がよく分からないんですけど、教えてもらえませんか?」

西野は私に近寄り、意図的に身体的な接触を図ってきた。

私が身を屈めて問題を解説していると、彼の腕がそっと私の腕に触れ、そしてわざと驚いたように尋ねてくる。

「先輩の顔、赤いですね」

私はその幼稚な手口を心の中で笑った。

この程度の赤みはチークで念入りに偽装したものだ。しかし表面上は恥じらうふりをして、そっと彼を押し返した。

「やめて、西野君」

私の黙認のもと、西野の行動はますます親密になっていった。

お茶を渡すときに指先に触れることから始まり、私の髪を直したりと、一歩一歩、私の許容範囲を探ってくる。

彼が私にキスをしようとした時、私は慌てたふりをして彼を突き放した。

「西野君、私たち、こんなの間違ってる!」

私は急いで鞄をまとめ、恥ずかしさのあまりマンションから逃げ出すように見せかけた。

「ごめんなさい、私たち、こうすべきじゃないと思う……」

西野は窓辺に立ち、私を見送りながら、その目に計算が成功したかのような嘲笑をきらめかせている。

彼はおそらく、自分がすでに主導権を握ったと思い込んでいるのだろう。だが、それこそが私の仕掛けた罠だとは知る由もない。

西野の視界から離れた途端、私はすぐに気楽な状態に戻り、鼻歌を歌いながら学校へ帰る電車に乗り込んだ。

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