第106章

森の運転で白石婆さんの店に送り届けられた頃には、すでに昼時は過ぎていた。店内には大学生らしき集団が一卓あるのみで、五、六人でテーブルを囲み、何やら激論を交わしている。

松本絵里は白石爺さんと婆さんに挨拶を済ませると、佐藤悟に尋ねた。

「どれになさいますか?」

悟は気怠げに答える。

「適当に頼んでくれ。俺の好みは知ってるだろ」

絵里は自分と悟の分、それぞれあっさり味のものを注文した。

絵里は空腹だったのだろう。白石爺さんがラーメンを運んでくるや否や、器に顔を埋めるようにして食べ始めた。

悟もレンゲを手に取り、ゆったりとした動作で口に運ぶ。

ところが、絵里が夢中で箸を進めていると...

ログインして続きを読む