第15章

「私が十五歳の時、進学を控えて……」

回想が潮のように押し寄せて、松本絵里はぎゅっと体を丸め、全身を震わせながら何か恐ろしい記憶に陥っていった。

佐藤悟は彼女のそんな姿を見るに忍びず、しっかりと抱きしめた。

「絵里、話したくないなら無理しなくていいんだ……」

松本絵里は佐藤悟の存在を感じ、我に返って、心が少し落ち着いた。

彼女はまだ佐藤悟を完全に信頼するまでには至っていなかったが、この数日間の付き合いで、佐藤悟の愛情と独占欲が、彼女に自分の心の奥底にある影と向き合う勇気を与えてくれていた。

彼女は無意識のうちに、この出来事を話しても佐藤悟は自分を嫌いにならないだろうと感じていた。...

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