第150章

松本絵里はスマートフォンを置き、ステージへと視線を向けた。壇上に立つその人の顔立ちを目でなぞる。――間違いなく、彼女のよく知る端正な面差しだった。

もしかしたらという一縷の望みを抱き、彼女は大型スクリーンを見上げた。スクリーンなら、その姿を大写しにしてくれるからだ。

ただのそっくりさんかもしれない。同じ佐藤家の人間なのだから、似ていても不思議ではないはずだ、と彼女は心の中で自分に言い聞かせた。

たとえば佐藤裕也と佐藤悟だって、ぱっと見はよく似ている。

よくよく観察すれば、まったくの別人だと気づくかもしれない。

松本絵里はステージ上の男を食い入るように見つめた。スクリーンに大きく映し...

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