第153章

「あいつに口出しする資格がないなら、俺にはあるか?」

入り口から響いた冷たくも聞き慣れたその声は、松本絵里にとって一陣の温かい春風のように感じられた。凍りついていた彼女の顔に、まるで春の陽気で溶け出す氷のように、ようやく別の表情が浮かんだ。笑おうとしたが、その笑顔は深い悲しみを打ち破ることはできず、泣こうとしたが、涙は燃え盛る怒りを越えてはこなかった。

言葉が終わるか終わらないかのうちに、安置室のドアが開き、険しい表情の男が入ってきた。

その瞳は底知れぬ深淵のように暗く、何を考えているのか読み取れない。彫刻のように整った顔立ちは、美しくも神秘的だった。全身から「近づくな」というオーラを...

ログインして続きを読む