第155章

年次総会。

佐藤悟は祖父を支えながら壇上に上がり、眼下に広がる黒山の人だかりの中から、彼を常に不安にさせるあの姿を的確に捉えていた。

彼女の表情までは読み取れないが、それでも一挙手一投足から目を離せない。少しでも機嫌を損ねて、またどこかへ逃げてしまうのではないかという恐れがあった。

松本絵里が会場を後にするのを見て、彼の胸はきゅっと締め付けられた。その後を追うように佐藤裕也が出て行くのを確認し、ようやく少しだけ胸をなでおろした。

諸々の挨拶が終わり、祖父を伴って来賓席から降り、ようやく控室へと戻ってきた。置きっぱなしにしていたスマートフォンを手に取ると、数件の着信履歴が残されているこ...

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