第169章

佐藤悟は足早に立ち去った。

松本絵里は、佐藤悟が再び床に投げ捨てたその写真を拾い上げ、呆然と見つめた。ずっと見つめていれば、何か手がかりでも浮かび上がってくるのではないかと思うほどだった。

そのことについて松本絵里が知っているのは、小林昇太から聞いたほんの少しの言葉の端々に過ぎない。佐藤悟がこれほどまでに激しい反応を示すとは、思いもよらなかった。

コンコンコン……

ドアを叩く音が響いて初めて、松本絵里は我に返り、扉を開けに向かった。

訪れたのは佐藤安子だった。

「お姉さん」

松本絵里は挨拶をし、体を斜めにして佐藤安子を部屋へ招き入れた。

佐藤安子は彼女の手を取り、気遣わしげに...

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