第170章

遠くから中村哲也が歩いてくると、自然な動作で安世を抱き上げ、ひょいと肩に担ぎ上げてからかうように言った。

「お前ら、いつまでもイチャイチャしてないでさっさと来いよ。お爺様がもう食卓で待ってるぞ」

佐藤悟は彼にジロリと白い目を向けただけで相手にせず、ひたすら松本絵里を自分の腕の中に引き寄せた。

いつもはおしゃべりな安世も、中村哲也の肩の上では珍しく口を閉ざしている。どうやら、自分の父親になろうとしているこの男に対して、まだ警戒心を抱いているようだ。

四人が手を洗ってダイニングルームへ向かうと、案の定、佐藤爺さんはすでに食卓に着いて待っていた。佐藤安子がその右手に座り、佐藤裕也と夏川卿が...

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