第172章

朝食を済ませると、佐藤悟は車を出し、松本絵里を乗せて本家から会社へと向かった。

会社まであと交差点一つというところで、絵里は車を停めてもらい、そこから自らの足で会社へと駆けていった。

新会長が就任早々、自分と噂になるのだけは避けたかった。中村との噂ならまだ弁解の余地があるが、相手が佐藤悟となれば、どう言い訳しても信じてもらえないだろう。

「絵里、やっと出社したね」

タイムカードを切った直後、彼女の姿を認めた神川が歩み寄って声をかけてきた。

「神川さん、この二日間、何か変わったことはなかった?」

自分が不在の間、業務に支障が出なかったかどうかが絵里には気がかりだった。

しかし神川...

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