第184章

松本絵里は佐藤裕也の喧嘩の腕前こそ見下していたものの、人使いの面では彼をそれなりに信頼していた。

会長の手で育て上げられた子なら、人を見る目もそう悪くはないだろうと考えていたのだ。

「佐藤社長、この二人の資料に目を通していただけますか。映画村プロジェクトのスタッフから私が選抜した候補者です。確認していただき、時間を作って現場でこの二人と面談すれば、どちらを後任のマネージャーに任命するか決められるかと」

彼女はデスクから二人の資料を手に取り、佐藤裕也に差し出した。

佐藤裕也は気にも留めない様子だった。本社に来たばかりで、そもそも働く気などさらさらない。彼は資料を受け取ると、形式的にパラ...

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