第190章

松本絵里は店の入り口に立ち、坂田健之が高橋桜を抱きかかえて出てくるのを待っていた。そのまま自分の車に乗せるつもりだった。

しかし、思いがけず羽鳥空見の姿を目にし、彼女と顔を合わせたくなかったのか、そそくさとレジの陰に身を潜めた。

一方、羽鳥空見は坂田健之の行く手を遮り、あろうことか高橋桜に救急処置を施すと言い出した。

高橋桜はこの女の素性を全く知らない。どさくさに紛れて何をされるか分からない恐怖と、何より自分が気絶したふりをしていることを見破られ、坂田健之の目の前で暴露されるのではないかという焦りでいっぱいだった。

心臓が猫の爪で掻き毟られるようにざわつき、今すぐ飛び起きて「余計なお...

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