第191章

「先輩を選ぶ。私、決めたから。先輩を失いたくない!」

高橋桜は勇気を振り絞り、坂田健之の背中へ向かって叫んだ。

坂田健之の体がピクリと動き、やがて足を止めた。

彼は振り返ることなく、淡々とした口調で告げた。

「高橋桜、世の中は自分の思い通りにいかないことばかりだ。お前を好きになることにかけて、俺はもう九十九歩も歩み寄った。最後のたった一歩すら、お前は踏み出してくれないのか。俺だっていつかは前に進まなくちゃならない。いつまでも同じ場所でお前を待ち続けるわけにはいかないんだ」

そう言い残し、彼は羽鳥空見の手を引いて再び歩き出した。

高橋桜は坂田健之の言葉を反芻しながら、その場に呆然と...

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