第207章

高橋桜をからかった後、羽鳥空見はようやく松本絵里に向き直って尋ねた。

「絵里、佐藤悟は出張中じゃなかったの?」

松本絵里は驚いたように彼女を見つめ、言葉を失った。

佐藤悟の出張は会社の機密事項であり、松本絵里はどう答えるべきか判断がつかなかったのだ。

松本絵里の誤解を解くように、羽鳥空見はわざわざ説明を加えた。

「安心して、会社の機密を漏らしたわけじゃないわ。私には私の人脈があって、そういう事情は耳に入るのよ。ただ心配なのは、彼が不在の隙に私を頼って小林教授に会いに行ったことがバレて、後で彼に責められやしないかってこと」

「それはないと思います」

松本絵里は静かに答えた。

「...

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