第216章

松本絵里がドアを開け、寝室から姿を現した。

唐沢心は顔色を変え、驚いたように尋ねた。

「羽鳥空見、まさかこの子のために私に会いに来たわけじゃないわよね?」

羽鳥空見は鼻で笑った。

「ようやく少しは頭が回るようになったのね」

唐沢心はほっと息を吐き、嘲笑を浮かべる。

「うちのお嬢様、頭がおかしくなったの? この子に真実を教えたら、佐藤悟との誤解が解けてしまうじゃない。まさか本気で佐藤悟への未練を断ち切って、ヨリを戻す気がないとでも言うつもり?」

羽鳥空見は冷ややかに言い放つ。

「私が恋愛にうつつを抜かす馬鹿だと思ってるの? 羽鳥家に入って十数年にもなるんだから、私と兄の絆がどれ...

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