第220章

『愛しい絵里へ

俺は会社に行くから、家で待っていてくれ。

テーブルに俺特製の愛情たっぷり朝食を置いてある。文句言わずに食べてくれよな。

君を愛する夫より』

松本絵里は、その甘すぎる書き置きを見てホッと息を吐き、口元に幸せそうな笑みを浮かべた。

スリッパを探す間も惜しんで、彼女は裸足のままダイニングへと向かった。

ダイニングテーブルに置かれた保温弁当箱の中には、茹ですぎて殻の割れたゆで卵が二つ入っており、その殻にはペンで可愛らしい笑顔が描かれていた。

松本絵里はスマートフォンを取り出して写真を撮ってから、ようやく席につき、その二つの卵をゆっくりと味わい始めた。普段は固ゆで卵などあ...

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