第39章

佐藤安子は坂田健之に怒らされてドアを乱暴に閉めて出て行ったが、なんと支社内で迷子になってしまった。

彼女は廊下を何度も何度も回ったが、どうしてもエレベーターの場所が見つからず、うっかりトイレまで行ってしまった。

この支社は確かに整理整頓が必要だった。こんな広いフロアなのに、非常口を示す誘導灯さえ設置されていない。

おまけにあたり一面が真っ暗で、廊下に灯るべき照明も点いておらず、かすかに差し込む自然光だけが頼りだった。

この支社の業績は、もしかして節約で稼ぎ出されているのではないだろうか!

佐藤安子は頭のない蠅のように廊下を右往左往していた。

佐藤裕也に電話をかけようと思ったが、彼...

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