第44章

松本絵里はまだ寝坊してしまった。

目を開けた時には、陽光はすでに窓台の半分を照らしていて、彼がきちんとした服装で窓際に座り、一束の書類を手にしていた。

陽の光が彼に降り注ぎ、横顔に金色の縁取りができて、まるでオリンポス山から人間界に落ちてきた神のようだった。

女性の熱い視線に気づいた佐藤悟は書類を置くと、真っ直ぐに彼女の方へ歩み寄った。「絵里がこんな風に私を見つめるのは、私がカッコいいと思ってるのか、それとも昨晩のことをもう一度...」

松本絵里は彼の厚かましさに耐えられず、枕を投げつけて彼の言葉を遮り、かすれた声で言った。「起きるわ」

「ほとんど寝てないじゃないか。坂田健之に電話...

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