第83章

中村哲也は松本絵里を見送ると、大急ぎでドアの内鍵をかけ、机の下から佐藤悟を引っ張り出した。

机の下は狭く、佐藤悟はその長い手足を窮屈そうに折り畳んでいたため、足がすっかり痺れてしまっていた。中村哲也は彼を支えて椅子に座らせたが、今、その麻痺した肉体に閉じ込められているのは、荒ぶる巨獣そのものだった。佐藤悟は殺気立った目で中村哲也を睨みつけ、その視線はどこへ動こうとも執拗に追ってくる。

中村哲也はこの「若旦那」の逆鱗に触れてしまったことを悟り、慌ててご機嫌取りにかかった。自らコーヒーを淹れて彼の前に差し出すと、その傍らにしゃがみ込み、ふくらはぎを揉みほぐしながら気遣わしげに尋ねる。

「ま...

ログインして続きを読む