第127章 言えない過去

「お姉さん」

 田中唯が挨拶する。

 鈴木絵里香は言った。「邪魔するつもりはなかったんだけど、さっき晶がすごい剣幕で出て行くのが見えて。どうしたの、喧嘩でもした?」

「喧嘩じゃないんです。私が聞いちゃいけないことを聞いちゃって、それで、ちょっと怒らせてしまったみたいで……」田中唯は唇をきゅっと結び、しょんぼりと答えた。

「何を訊いたら、あの子がそんなに怒るの?」鈴木絵里香は興味津々に尋ねた。

 田中唯はため息をつき、先程の出来事を話した。

 鈴木絵里香は驚いた表情を浮かべ、やがて感嘆したように言った。「あなたに怒鳴らなかっただけ、かなり我慢した方よ。私たち他の人間がその話題に触れ...

ログインして続きを読む