第15章 突然彼女たちに歌を歌わせる

「今夜はあたしのおごり。みんなでカラオケに行きましょう」

 終業間際、中村心愛が突然立ち上がって高らかに宣言した。

「心愛、本当? 本当にカラオケおごってくれるの?」

「美人さん、今日はどうしたのよ。槍でも降るんじゃない?」

 同僚たちはそれを聞くや否や、口々にはやし立てた。

 中村心愛は言う。「で、行くの行かないの?」

「もちろん行くわよ。中村美人がおごってくれるっていうのに、行かないわけないでしょ?」

「そうそう、めったにないことなんだから。すぐ旦那に電話して、今日は子守りお願いしないと」

「私たちはやめておくわ。あなたたちで楽しんできて」

 渡辺静香は中村心愛に恩を着...

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