第209章 金の力は鬼をも動かす

 土下座せんばかりの井上俊也の懇願に、細谷心晴はついに渋々といった顔で二人を中へ入れた。

 井上俊也は酔っ払った青木奈々を支え、細谷心晴の家のソファに倒れ込ませる。

「姉さん、姉さん以外に、もう誰も信用できる人がいないんだ」

 ようやく一息つけた井上俊也が、またもや可哀想な様子で訴えかけてきた。

 細谷心晴はフンと鼻を鳴らし、唇を歪めて言った。「その信頼、ありがたいけど必要ないわ。今夜限りよ。明日の朝になったら、さっさと彼女を連れて出て行って。さもないと、あんたたち二人の脚、へし折ってやるから」

 そう言い残し、冷たい顔で二階へ上がって休んでしまった。

 その言葉に井上俊也はびく...

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