第215章 実力で奪った男

 田中唯は交通警察隊を離れると、すぐに細谷心晴に電話をかけ、事の次第を伝えた。

 細谷心晴はしばし沈黙し、やがて冷ややかに鼻を鳴らして言った。「細谷春斗にあんな手があったとはね。以前は、少し見くびっていたみたい」

 田中唯は尋ねた。「これからどうするつもり? もしあなたが嫌なら、私は約束の場所へは行かないけど」

「もちろん行くべきよ」と細谷心晴は言う。「あれはあの馬鹿にぶつけられたあなたが得るべき当然の対価だもの。私に遠慮して諦める必要なんてないわ。それに、ビジネスは戦場よ。プライベートでは友達でも、ビジネスの場では競争相手、つまり敵。敵に対しては、絶対に情けをかけては駄目。友達どころ...

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