第216章 彼女とホテルで会う約束

田中唯は撮影所をぐるりと見て回った後、鈴木晶からの電話を受けた。

「六時半、ファーユーホテルで待ってる」

それだけ言うと、電話は一方的に切られた。

田中唯は呆然とする。わけのわからない一言だけを告げて電話を切るなんて。

かけ直してみると、向こうはすでに電源が切られていた。

「田中部長、どうしましたか?」

花田凛太郎が歩み寄りながら尋ねてきた。

田中唯は慌ててスマホをしまい、「花田部長、私、まだ用事がありますので、これで失礼します」と言った。

「田中部長」花田凛太郎が彼女を呼び止める。

すでに背を向けていた田中唯は、その声に仕方なく振り返り、「花田部長、まだ何か?」と尋ねた。...

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