第246章 具体的なメリット

鈴木晶が吉田博文から連絡を受け取ったのと時を同じくして、中野直也も呉城から戻ってきた。

しかし、戻ってきたのは彼一人だった。

「連れて帰りたくなかったわけじゃない。どうしても連れて帰れなかったんだ」中野直也は部屋に入るなり、鈴木晶にそう言った。

鈴木晶は眉をひそめる。「なぜだ?」

中野直也は女性秘書にコーヒーを持ってこさせると、それを飲みながら話し始めた。「現地に行って初めて分かったんだが、この原口澪というのも可哀想な奴でな。もともとは幸せな家庭があったらしい。両親と兄がいて、彼女は末っ子で、それはもう蝶よ花よと育てられたそうだ。家もそこそこ裕福だったとか。だが、彼女が十四の時、一家...

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