第69章 あなたはロマンチックな言葉が上手ですね

「どうしたんですか?」

 ようやく隣から一人の女性がやってきて、エレベーターの入口を塞いでいる彼女を見て眉をひそめて尋ねた。

 田中唯はぱっと顔を輝かせて言った。「こんにちは、私、第二部門の田中唯と申します。山崎副社長にサインしていただきたい緊急の書類があるんです。でも、私の権限では上の階に行けなくて、何か方法はないでしょうか?」

「権限が足りないなら、足りてる人間に来させなさいよ。新人のくせに山崎副社長に会おうだなんて、あんた、自分の家の墓から青い煙でも出たと思ってるわけ?」

 女は鼻で笑い、エレベーターに乗り込むと無情にもドアを閉めた。

 冷たくあしらわれた田中唯は、どうしよう...

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