第71章 罠を掘って彼女が落ちるのを待つ

「田中唯、入りなさい」

 村上愛実は険しい顔で、田中唯をオフィスへと呼びつけた。

 中へ入った田中唯は、恭しく尋ねる。

「村上部長、何か御用でしょうか」

「この書類、あんたが山崎副社長にサインをもらったものよね?」

 村上愛実は書類をデスクに叩きつけ、そう問い詰めた。

 田中唯は素早くそれを手に取って一瞥する。確かに、昨日自分が山崎副社長にサインをもらった書類だった。

「はい、私が山崎副社長にサインをいただいたものですが、何か問題でも?」

「何か問題でも、ですって? 山崎副社長にサインをもらう前に、ちゃんと確認しなかったの? この書類には不備があって、昨日付けで破棄されたもの...

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