第76章 邪魔された良いこと

田中唯は小さなトレーを手に、見た目の良さそうなデザートを二つほど選び、隅のテーブル席に腰を下ろして味わっていた。

鈴木宏は遠くから彼女を見つめていた。ものを食べるたびに頬がぷくりと膨らむ様子は、かつて飼っていた小さなハムスターにそっくりだ。思わず口角が上がる。まさか、ものを食べているだけでこんなにも可愛らしい人がいるなんて。

「唯」

鈴木宏が歩み寄ろうとしたその時、鈴木晶が一足先に田中唯の隣へと向かった。

「戻ってきたの? どうだった、喧嘩とかしてないでしょうね!」

田中唯は彼を見て驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべ、すぐさま心配そうに尋ねた。

鈴木晶は呆れたように、手を伸ばし...

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