第14章 当然、正式にする

トイレの入り口には『点検中』の札が立てかけられている。

藤咲花音は男子トイレへと続く曲がり角の陰に立ち、スマホの録音画面が点滅するのを静かに見つめていた。

個室にいる二人は、彼女の存在に気づく由もない。

如月奈々の不意の接触に、桐島翔太は抑えきれない低いうめき声を漏らした。

彼のその反応に気を良くしたのか、如月奈々がさらに大胆になる。

「翔太兄さん、朝は会議で忙しくて、物足りなかったんでしょう? 私が今、スッキリさせてあげる……」

彼女は甘えるように彼の胸元にキスを落とし、再びその場にしゃがみ込もうとする。

桐島翔太は彼女の手首を掴み、その手に迷うように力を込めたり緩めたりした...

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