第149章 酒蔵

部屋に戻ると、お祖母様は少し心配そうに待ちわびていた。藤咲花音が戻らないので、電話をかけようとしていたところらしい。

花音は気持ちを切り替え、努めて明るく振る舞った。

「あの方に、いじめられたりしなかったかい?」

顔色の優れない花音を見て、お祖母様が案じるように尋ねる。

藤咲花音は首を横に振った。

それを見て安心したのか、お祖母様は彼女の足元にいるルクに視線を移し、微笑みながらその頭を撫でた。

「この子がいてくれてよかったねえ。……ええっと、名前は何だったかしら?」

「ルクです」

自分たちの話題が出たと分かったのか、ルクはちぎれんばかりに尻尾を振って応えた。

午後三時。一条...

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