第157章 時間の問題

カフェでのことだ。

会社の近所ということもあり、人目を避けたかった藤咲花音は、あえて目立たない隅の席を選んでいた。

一条裕也はそれが不満だったらしい。席に着くなり、彼女に問いかけた。

「俺と一緒にコーヒーを飲むのが、そんなに恥ずかしいことか? 正直なところ、女性にこんな扱いを受けたのは初めてなんだが」

藤咲花音は愛想笑いを浮かべた。

「一条社長、単刀直入に申し上げます。私は社長にそのような興味はありませんし、社長もそうでしょう?」

一条裕也が身内を庇うという噂は彼女も耳にしていた。自分と一条愛莉が水と油の関係である以上、彼が自分に抱く印象も良くはないはずだ。

案の定、そう告げる...

ログインして続きを読む