第16章 やはり妥協した

第11章

如月家へと車を走らせながら、桐島翔太の脳裏には、去り際の藤咲花音のあの眼差しが何度もフラッシュバックしていた。

その静けさが、かえって彼の心を激しくかき乱す。

一刻も早く戻り、彼女にすべてを包み隠さず話さなければという焦燥感に駆られていた。

車が如月家の門前に停まる。

如月奈々はずっと前からそこで待っていたようだ。

彼の姿を認めるや否や、彼女は救いの神にすがるように飛びついてきて、その服を強く握りしめた。

「翔太兄さん、どうしよう? お母さんが、さっきまで元気だったのに急に倒れて……もしものことがあったら、私……」

彼女は激しく泣きじゃくっていた。

別荘の中に入る...

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