第166章 人を選ぶ

桐島征十郎の手料理は想像を絶する美味さで、傍らでルクが時折茶々を入れるのも相まって、食卓は実に和やかな雰囲気に包まれていた。

夕食後、藤咲花音は食器洗いを申し出たが、またしても桐島征十郎に制された。

「気が引けるなら、あとで頭のマッサージでも頼むよ。ここ二、三日よく眠れてなくてな」

桐島征十郎の口調はあまりに自然だった。

言い終えると、彼は食器を持ってキッチンへと消えていく。

藤咲花音は最初こそ恐縮していたが、彼が食洗機に食器をセットするのを見て、ようやく肩の荷が下りた気がした。

「ワンッ」

ルクが足元でじゃれついてくる。

藤咲花音はしゃがんで相手をした。

最初はしゃがんで...

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