第170章 七百万

いよいよ葬儀の日が巡ってきた。

藤咲花音は一晩中、支離滅裂な悪夢にうなされたせいで、目覚めてからも気分が優れなかった。

朝食の席で、祖母が花音に言い聞かせた。

「若林さんのところは勝則くん一人きりだろう。もし葬儀で手が回らないようだったら、お前が手伝ってあげるんだよ」

寝不足のせいか、花音の心は鉛のように重かったが、それでも気力を振り絞って答えた。

「ええ、分かったわ」

祖母から葬儀に関する諸注意をひと通り聞き、花音はようやく家を出ることができた。

彼女は朝早くタクシーを拾い、郊外の霊園へと向かった。

到着した時には、すでに若林瑠美子の生前の友人や知人たちが霊園の入り口に集ま...

ログインして続きを読む