第180章 痩せた

個室に入ってからも、一条裕也は時折、桐島征十郎の顔を盗み見ていた。

さっき、彼が笑ったのを確かに見たはずなのに……。

ウェイターが酒を運んできた。

桐島征十郎はそれを一瞥すると、ふと思い出したように一条裕也に言った。

「あの二本の酒代、お前に振り込んでおいたぞ」

一条裕也は数秒きょとんとしてから、ようやく話が見えた。

以前、藤咲花音はワインセラーに閉じ込められた際、暖を取るために彼のコレクションを二本開けたのだ。

それも、最も高価な二本を。

一条裕也は懐が痛む思いだったが、過ちを犯したのは自分の妹だ。文句は言えない。

「よせよ、後で送り返す。一条家の人間がしでかしたことだ、...

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