第192章 本当に嵌まる

たった一晩で、桐島翔太は手のひらを返したように態度を変えた。

藤咲花音は桐島征十郎の車の脇に立っていた。後部座席のドアは開け放たれており、少し視線を落とせば、中に座る主の姿が目に入る。

先ほどの翔太の言葉は、彼にも筒抜けだったはずだ。

花音は征十郎が何か口を挟むかと思ったが、彼はただ安心させるように唇の端をわずかに持ち上げただけだった。自分のことは自分で始末をつけろ、という意味だろう。

背後から、翔太が大股で近づいてくる。

だが、その前に佐々木隆美が立ちはだかった。

翔太はあからさまに不機嫌な顔をした。

「どけ! 手荒な真似をさせるなよ」

佐々木は泰然自若として動かない。

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