第200章 名残惜しい

車は病院の入り口に静かに停車した。

藤咲花音の心はようやく落ち着きを取り戻したが、ふと佐々木隆美と目が合うと、やはり気まずさが込み上げてくる。

その空気を察したのか、佐々木隆美が気を利かせて言った。

「水を一本買ってきます。すぐ戻りますので」

佐々木隆美は車を降り、車内には再び二人きりの時間が流れる。

藤咲花音は感謝を込めて、彼の背中を見送った。

「名残惜しいか? なんなら、佐々木隆美に上まで送らせようか」

桐島征十郎の声が車内に低く響く。

藤咲花音はハッとして我に返り、彼の言葉の意図に気づくと耳まで熱くした。

「そんなつもりじゃないって、分かってるくせに」

桐島征十郎は...

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