第202章 気になる

出勤時間帯の桐島グループ本社ビル。エントランスホールは多くの社員で行き交っていた。

藤咲花音(ふじさきかのん)が足を踏み入れると、気のせいか、周囲の人々の歩調がいつもより緩慢であるように感じられた。

彼女は二人の女性社員の後ろを歩いていた。

前を行く二人が、興奮した様子で声を潜めながら話しているのが聞こえてくる。

「本当に桐島社長だわ! 嘘、すごくかっこいい!」

「ちょっと待って、こっち見てない? 絶対に目が合ったって!」

藤咲花音は顔を上げ、彼女たちの視線の先を追った。

そこには確かに、二人の役員を従えた桐島征十郎(きりしませいじゅうろう)の姿があった。

遠くから、彼と視線...

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