第204章 どちらも大好き

三分後。

藤咲花音はマンションの入り口に一人佇み、佐々木舞が残していった車の排気ガスをぼんやりと眺めていた。

去り際、彼女はこんな捨て台詞を残していったのだ——。

「実はね、桐島社長に頼まれて迎えに来たのよ。社長が上で待ってるから、さっさと行きなさいな。二人の邪魔はしないでおくわ!」

藤咲花音は彼女が去った方角を見やり、それから視線を上げて桐島征十郎の部屋を見上げた。

桐島征十郎に電話をすべきか迷っていると、背後でエレベーターが停まった。

扉が開くと同時に飛び出してきたのは、カードキーを咥えたルクだ。尻尾をちぎれんばかりに振っている。

どうやら敷地に入った時点で、桐島征十郎には...

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