第210章 口先ばかり達者

第5章

大谷徹も在学中は名の知れた人物だったため、人々の噂の的になることには慣れていた。

だが、その噂されている張本人が目の前にいるという状況はさすがに初めてで、多少なりとも気まずさを感じずにはいられない。

相手はまだ卒業もしていない学生たちだ。大谷徹が藤咲花音のためにわざわざ出張って彼らに詰め寄るわけにもいかなかった。

彼は彼らが遠ざかるのを待ってから、場の空気を和ませようと口を開いた。

「噂が広まるのは早いな、花音。どうやら君は学校中で大人気のようじゃないか」

大谷徹は軽口を叩いて笑った。

藤咲花音は苦笑いを浮かべる。

「先輩、こんな時にからかわないでくださいよ」

そう...

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