第211章 全て過ぎ去った

やがて晩餐会の刻限が迫ってきた。

藤咲花音は手持ち無沙汰だったこともあり、早めに会場の講堂へと足を向けることにした。

だが、入り口に差し掛かったところでスタッフに制止された。

「君、A大の学生だろ? ボランティア証は? 在校生は事前に採用されたボランティア以外、勝手な立ち入りは禁止だよ」

藤咲花音は慌てて釈明する。

「私は卒業生です。式典に参加しに来ただけで、招待状も……」

言いかけて、彼女は鞄の中を覗き込み、遅まきながら思い出した。二枚の招待状は、どちらも大谷徹が持っているんだった。

別れ際、入り口で落ち合おうと話していたため、自分の分を受け取っていなかったのだ。

そして今...

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